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【賃貸の民法改正3】保証人、極度額について【オーナー様向け】
- お役立ち情報
- 2020.03.31
賃貸契約における連帯保証人の定義が新しくなりました。
民法改正により、保証契約に関する規定が変更されます。それに伴い、賃貸における連帯保証人の規定についても変更がありました。
法務省からの保証に関するガイドラインはこちら
こちらも参考にしながら、賃貸経営における民法改正について確認していきましょう。
前回までの記事
・敷金に関する改正
・原状回復と家賃減額に関する改正
連帯保証人についての極度額設定義務化
今回の民法改正で、オーナー様方が最も関心を集めている話題ではないでしょうか?
まずは、改正された新法を確認しましょう。
第465条の2 (個人根保証契約の保証人の責任等)
(個人根保証契約の保証人の責任等)
一定の範囲にに属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3 第465条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第1項に規定する極度額の定めについて準用する。
企業などの法人を除く、個人が保証人になる根保証契約については、保証人が支払の責任を負う金額の上限となる極度額を、「〇〇円」のように明瞭に定めなければならないとされています。
極度額を定めていない保証は無効になるとされています。
ですので、原則は書面上で「〇〇円までの保証」について連帯保証人の合意を得なければいけません。また、新法は債務に従たる【全ての】ものが加筆されました。家賃滞納だけでなく、損害賠償など債務全ての責任を保証人に問えるのです。しかし、その全てが定めた極度額の範囲でしか請求できないということになりますね。
そこで、一番気になるのは極度額の設定金額だと思います。
連帯保証人の極度額はどうやって設定するべき?
これに関しては、改正民法が施行され、判例が出ないとはっきりとしたことは分かりません。万が一入居者の過失によって火災などの被害が発生した場合などを想像すると、高い金額を設定しておきたくなる気持ちもあると思います。しかしそれでは、保証人を引き受け辛くしてしまいますよね。
国土交通省より、2018年に極度額の設定にあたって参考資料が公開されています。
参考:極度額に関する参考資料
これには過去の、
・家賃の金額ごとの損害額
・損害額の回収率
・連帯保証人の負担額
などの調査結果が記載されています。
家賃滞納の発生率と被害損害額
家賃滞納の発生率は、平均で7.5%とされています。
(日本賃貸住宅管理協会・日管協総合研究所による賃貸住宅市場景況感調査、2008~2017年までの平均率)
また資料によると、家賃滞納の場合、約9割は1か月後に回収できているとされています。しかし、その他残置物撤去費なども含む損害額の調査では、
・家賃4~8万円の物件の平均損害額は28.2万円
・家賃8~12万円の物件の平均損害額は50万円
と、損害が発生した件だけでみた場合、
平均損害額は家賃の約5倍と言えます。
半面、最高額は家賃2年分をゆうに超しています。
結局、連帯保証人の極度額はいくらにする?
家賃滞納などの損害発生率は〇%と決して高くはありません。また、損害が発生した場合でも平均は、家賃×5か月程度の損害額とされています。しかし、あくまで平均であり不安は残る。連帯保証人の人に納得してもらえて、おおよその損害が発生した時に賄えることを考えると、【家賃×12~24ヶ月】程度に設定するのが妥当ではないでしょうか。
そして、その表記はしっかりと【〇〇〇円】と記すことが安全だと考えます。
例えば、家賃5万円の物件で24ヶ月分を極度額とした場合は、120万円。連帯保証人も少ししり込みする金額になってしまいます。
・どんな時に保証人の支払いが発生するのか
(家賃滞納時・借主に責がある場合の原状回復と損害賠償・契約解除後の家賃)
をわかりやすく伝え、平均額などを伝えて安心してもらうなど、金額に納得して契約してもらうことが必要ですね。
よりニーズの高まる債務保証会社
2019年12月に公益財団法人日本賃貸住宅管理協会日管協総合研究所より発表された「第22回 賃貸住宅市場景況感調査 『日管協短観」によると、民法改正を受け、保証会社の利用率は伸びていることがわかります。
全国的に増加し、利用率は8割を超えていますが、特に顕著に表れているのが関西です。
今回の民法改正をきっかけに、個人の連帯保証人契約よりも保証会社の利用が進み、よりニーズは高まっていくと考えられています。しかし、それは賃借人の負担が増えることにも繋がります。物件のターゲットに合わせた保証会社利用の有無の選択、金額や更新の設定が必要になってくるでしょう。
少しでも皆様のお役に立てるように
前回の「原状回復と家賃の減額・契約解除」にひき続き、
「連帯保証人と極度額」
について、確認してまいりました。
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